初仕事は無事に終えた。だが全てが終わったわけではない。
「あ、あの……本当に、こんな事……」
 仮契約から本契約へ。その条件が示され、エンジェルは戸惑っていた。無理もないだろう。武が示した条件は、神の使いである天使が行うべき事ではないのだから。
「あなたがご主人様の仲魔になりたいんなら、あなたが私達の「流儀」に合わせるべきじゃない? こっちは無理にあなたを仲魔にする気はないんだし」
 本来なら武が言うべき事を、ベスが代弁する。ベッドの上で、裸になり、武に寄り添い胸を揉まれながら。むろん今ベスは羽根と尻尾を生やしたリリムの姿に戻っている。
「ん、チュ、はむ……ねえ、決めるなら早く決めてよぉ。クチュ、ん、じゃないとぉ、先にタケルの、貰っちゃうよ? チュパ、チュ……」
 肥大した男根にしがみつき、ピクシーが鈴口を舐めながらエンジェルを急かす。
「し、しかしこのようなことを本当に……」
 目の前で繰り広げられているのは、デビルサマナーとその仲魔による痴態。さながら小規模なサバト。デビルサマナーの中にはこのように悪魔との淫行を目的として召喚する者もいるのは、知識としてエンジェルも知っていた。だがそのような「不埒者」は断裁すべき対象であり、よもや自分がそのサバトに参加するよう促されるとは夢にも思わなかった。
「あの陰陽師と戦う前にもベスが言っていただろう? コレが俺達のやり方なんだよ。悪いけど、キミが天使だからって俺達の「交流」の仕方を変える気はない。どうしても仲魔になりたいのなら、この条件はのんで貰わないと……ね」
 マグネタイトの補充と共有のために、乱交には必ず参加する。それが武が示した条件だった。
 通常悪魔……天使も悪魔の一種として……人間が彼らと契約を結ぶ際、悪魔が出す条件を人間がのむ事で成立するのが基本。当然逆もあり得るが、契約を結ぶのならば妥協点を探り合うのが常。しかし武は示した条件を代える気は全くなかった。神の、それもヘブライ神族の天使に性交を強要する……これはもう、契約する気がないと言っているようなものだ。
 事実、武は天使との契約に前向きではなかった。自分がデビルサマナーになった切っ掛けであり、サマナーで居続けるために必要なことが淫行である以上、それを行えない者を仲魔に迎えることは初めから考えられなかった。加えて、かの天使は自分達を尾行していたようで、その追求を免れるために仲魔になると言い出した……真実はともかく、武は天使の行動をそう見ている。そんな怪しげな天使を快く迎えられるはずがない。あの激しい戦闘を共に切り抜けた相手だとはいえ、だ。
「諦めたら? んっ、別に私達は無理強いしてないのよ?」
 挑発するように、ベスが胸から伝わる快楽に鼻を鳴らしながら辞退を促す。
「それとも……どうしてもご主人様の仲魔にならなければならない、理由でもあるの?」
 おそらく平時のエンジェルならばこんな簡単な挑発に動揺することはなかっただろう。だが目の前で不浄なる行為を見せ付けられ、それに参加するよう条件を突きつけられている今、ビクリと身体を震わせてしまっても仕方のないところだ。ここはそんな反応を引き出すよう誘導したベスを褒めるべきかもしれない。
「……あの道満との戦闘は、キミがいなければかなり危うかっただろう。その事には本当に感謝しているよ。だからもうこれ以上キミを問い詰める気はない……だけど、このまま仲魔にする気もない。契約条件がのめないなら、大人しく引き下がって欲しい……」
 これはある意味、武が示せる優しさでもある。この天使は自分に取り入ってスパイ活動をしようとしている……そう武は疑っていた。ただ何が目的で自分を監視する気なのか……そこにまったく心当たりがない武は、助けて貰ったことを免罪符に、尾行のことを不問にしよう、そう思っていた。
 武の天使への疑惑には、ベスの助言と、そしてパスカルの忠告が下地にある。パスカルはエコービルからの帰り際にエンジェルと対面し、天使が武と仮契約を結んでいることを知った。その際パスカルは武へこっそりと忠告していた。レギオンとの戦闘後に離脱するエンジェルを、CBASの二人は視界内に捕らえながら一度もそちらへ視線を移さなかった不自然さ……そこを指摘していた。パスカルの指摘から推察するなら、エンジェルに武を監視させているのはCBASか、あるいはあの二人……ミランダかセリのどちらか、あるいは双方……疑うならそのあたりだろう。だとしても、何故彼らが監視を命じるのか……その理由が全く判らない。
 なんにしても、規律の、特に性行為に厳しいヘブライ神族の天使は仲魔になることを拒むしかないだろう。使命のために彼女が身を汚すことを良しとするはずがない……
「判りました……」
 ようやく諦めてくれたか。正直ホッとした……そんな武の気持ちは、直ぐさま裏切られることになる。
 エンジェルはうつむき、瞳を閉じた。そして武達に美しい羽根を見せるかのように背を向けた。
「えっ!? ちょっ……」
 そしてあろうことか、エンジェルは両肩に手を掛け、スルリと服を脱ぎ落とした。一枚の服、その下には何もなく、エンジェルは今全裸になっていた。
「……マスター、お願いがあります」
 声が震えている。だがそこに決意が込められている。天使は自ら身を汚すことを決意しているのだ。
 そうまでして果たさなければならない使命とは何だ? 武はむしろ疑いを強く抱いた。天使が言うように、ただ武の正義に感銘して仲魔になりたいだけならば、ここまでのことはしないだろう。天使に性行為を強要している段階で、もう「正義」ではないのだから。にも関わらず、背中を向けているとはいえ全裸になった……それだけでも、耐え難い屈辱のはず。一人のデビルサマナーに惚れ込んでする行為ではない。何が天使をここまで追い詰めるのか?
「私の身体を見て……その、きっ、嫌いに、ならないで下さい……」
 嫌いになる? 身体を見られて落胆されるのを嫌がっているようだが……ゆっくりと振り向いたエンジェルの身体は、見る男誰をも魅了するだろう……そう言い切れるだけの、見事なプロポーションを保っていた。
 ただ一点を除けば。
「うわぁ……おっきぃ」
 ピクシーはその一点を凝視し、感嘆の声を上げる。武もまた、形の良い胸や見事な腰のくびれには一切視線を移さず、ピクシーと同じ一点を凝視していた。
「……そう言えば、天使は両性具有だったっけ。クスッ、良い「物」持ってるわね」
 淫魔の一言に、既に赤らめていた頬を加熱させたかのように真っ赤にする天使。それに応じてか、ビクンと、見られている一点……雄々しくそそり立つ男性器が跳ねた。
「あらあら、もうそんなに大きくしてるなんて。本当は期待してたんだ」
「ちっ、ちが……これは、その……」
 男性器は「興奮」すると肥大する。期待はしなくとも興奮してしまえば大きくなってしまうもので、痴態を見せられたエンジェルが男性器を肥大させていてもおかしくはない。しかし淫魔はそれを理解しながら天使を言葉で刺激し続けた。
「エッチな身体してるのも、男も女も誘惑できるように、なんでしょう? 天使って本当は淫乱なんだ」
「そっ、そんなことありません! この、この身体はそんな事のためにあるのではなく……」
 弱々しい否定とは裏腹に、エンジェルの身体はベスの指摘通りとても魅惑的だ。上半身は男を魅了するに相応しいラインを描き、下半身はそれを見る女性の身体を火照らせるに充分な雄々しさを示している。
「そんな事の為にあるの。これからは、そうなるのよ? ご主人様の仲魔になるならね」
 いかに否定しようとも、これから行う事自体は否定できない。そしてそれは、今後も契約を続ける以上継続していく行為。仕える主を満足させる身体にならなければならないのだ。
「……マスター……あの、わ、私……」
 モジモジと指摘された男性器を隠しながら、天使は口ごもりながら仕えようとする主の出方をうかがっている。まだ武は、凝視するばかりで一言も、何も語っていないから。
「隠さないで」
「えっ、あの、はい……」
 言われるまま、素直にエンジェルは手をどけて全てを再びさらけ出す。視線を感じた男性器が、また跳ねている。
「まあなんだ……ついてるのは良いとして……」
 どう応えるのが打倒なのか、模索しながら武は声を掛けた。
「あの、さ……あるんでしょ? その……」
「オマンコ。ちゃんとあるのかですって。その大きいのをどけて、見えるように脚を広げて」
 直接的な表現を避けようとした武に代わって、淫魔がわざと卑猥に指示を出す。
「……はっ……はい」
 震えながらも、天使は応えた。そして自分の肉棒とその下に付いている陰嚢を下から持ち上げる。
「ちゃんと脚も開いて。見えないわよ?」
 指摘通り、天使は肩幅に脚を広げよく見えるよう陰嚢を更に持ち上げる。そこには確かに、女性器が備わっていた。
「こ、これで、その、マスターを……」
「……まだよく見えないな。こっちに来て良く見せて」
 淫魔ばかりでなく、主にまで辱めを受ける天使。いや、これが主の「流儀」だから……泣きたくなるほど恥ずかしい思いをしながらも、天使は主のすぐ前にまで歩み寄り、そして同じよう脚を広げ陰嚢を持ち上げ、女性器をまざまざと見せ付けた。
「あの、後生ですから……もう、もうこんな辱めは……」
 許しを請う天使。だがその願いは聞き届けられない。
「自慰をした事は?」
 許されるどころか、更なる恥辱が天使を待ちかまえていた。まだ、まだ主はこんな辱めを……天使は何時しか、大粒の涙を流していた。
「ありません……ヒック、そんな事、許されるはずもありません……」
 恥ずかしいとか後ろめたいとか、天使にとっての性行為は、人間の性欲とは次元の違うもの。したとかしないとか、そんな簡単なものではないのだ。
「……許されるはずも無いことを、キミはこれからしようとしているんだ」
 諭すように、武は優しく語りかける。
「そこまでしてキミは……本当に俺の仲魔になりたいのか?」
 これが最後のチャンス……精一杯の、優しさがそこにあった。
 使命だとしても、ここまでの辱めを受ければ逃げ出すのも仕方のないことだと言い訳も出来るだろう。言い訳を、武は出来る限り用意してあげたかった。
 そんな武の思いを知ってか知らずか、天使は涙を堪え、決意を新たに、答える。
「守護する人間が望むのであれば……この身体、差し出す覚悟は出来ております。神も……きっと、許してくださるでしょう」
 武にというよりは、自分に言い聞かせている。エンジェルの瞳にはもう、涙はなかった。神の名を出してまで耐え抜く覚悟を決めている……その思いはもう揺るがないだろう。
「そうか……」
 ならば腹をくくるしかない。武もまた、覚悟を決めた。
「ベス」
「はい」
 決めたのならトコトン……武は自分の性欲を押さえ込むのを止め、新たな仲魔に卑猥な視線を送りながら淫乱な仲魔に命じる。
「彼女にオナニーの仕方を教えてやってくれ」
「クスッ……ええ、判ったわ」
 淫欲に顔を歪めた主に満足げな微笑みを向け、淫魔は天使に堕落の道を指導する。
「膝を着いて四つんばいになって……ええそうよ。そして脚を開いて……もっと、そう、もっと……」
 その場で四つんばいになる天使。顔はベッドに腰掛けてる武に向いていたが、恥ずかしさからかその顔は背けられた。だがそんな天使の顔を、武はベッドから降りて強引に両手で掴み自分の方へと向けさせた。
「あ、ああ……」
 ジッと見つめられる恥ずかしさ。こんな姿をマジマジと……エンジェルは広げた翼と硬くなる肉棒を振るわせている。
「上半身を起こして、まず片手をあなたの秘所に……ああ、あなたの場合これが邪魔なのよね」
「ひうっ!」
 肥大し敏感になっている肉棒をベスに強く握られ、エンジェルは仰け反った。そんな天使の肩を、武が支えている。
「ほら、自分でここを持ち上げて……そう、そうすればいじりやすいでしょう。ああ、なんならこれをこうして……」
「やっ、そ、い、いじっ!」
 掴んだ肉棒をそのまま擦り始める淫魔。初めて感じる他人からの刺激に、天使は敏感に反応を示した。
「ちゃんと自分でやらないと……ダメよ、もっと激しく……そう、良い調子よ」
「あ、ん、こ、こんな、こと……ああ、み、見ないで、見ないでください……ん、あ、んっ!」
 自分の肉棒を擦りながら、その痴態を主に肩を掴まれながら見られている。恥ずかしさに、たまらずまた顔を背け目をギュッと閉じる天使。
「あ、マス、ん、はふ、ん、チュ、チュパ、ん、んふぅ!」
 それを許さないとばかりに、武はまた天使の顔を自分に向けさせ、そして予告もなく強引に唇を奪った。
「……ファーストキス?」
「はふ、は、はい、も、もちろん、こん、こんな、ん、ん! チュ、クチュ……」
 判ってはいたが、確かめずにはいられなかった武。天使の答えに満足すると、武は再び唇を重ね、縮こまる天使の舌に強引に吸い付き、舌でからみつき、口内を犯していく。
「キスも良いけど、こっちもちゃんとね……ほら、空いてる手でこっちもちゃんといじらないと、オナニーにならないわよ?」
「ひふ!」
 唇を塞がれながら、電撃のような性感に喘ぐ天使。陰嚢の舌に隠れていた淫唇に、淫魔の指が触れたのだ。
「人差し指を伸ばして……そう、この指でここを……こう。こんな感じで……ほら、指を曲げちゃダメよ。曲げるなら、ここにこうして、ここで曲げて……」
「チュ、ん、ひう、ん、はふ、ん、チュパ、チュ……ん、んん!」
 長い長いキス責めを受けながらも、自慰を強制され続ける。そして天使への攻めは、これだけでは終わらない。
「もー、みんなしてなによぉ……私も参加させてよぉ!」
 一人あぶれたピクシーが、不満を口にしながら飛び回っている。
「あらゴメンねピクシー。ならそうね……これ、これを舐めてあげたら?」
 タブタブと、重力に引かれ揺れる天使の乳房を軽くベスが叩いた。
「うん、そうするぅ!」
 ようやく出番が来たと、喜び勇んでピクシーは武と天使の間に割り込み、乳頭に唇を付けた。
「ん!」
 また新たな刺激。天使は体験したことのない刺激を受け続け、限界に近づいていた。
「ん、チュ……なんか甘いかも? とりあえずベスのよりは美味しいかな」
「ちょっとぉ、それは聞き捨てならないわね」
 ピクシーの本音に、ムッと顔をしかめる淫魔。それでも天使への指導を緩めることはなかった。
「ビクビクいってるわね……そろそろかな?」
 肉棒を握る天使の手に自分の手を添えて、ベスは更に激しく擦るよう導く。もう一方の手も淫唇をいじる手の手首を握り、まるで鍋をかき回すかのようにグリグリと激しく動かした。
「ん、チュ、ん、クチュ、はふ、ん、あ、わた、わた、し、い、こ、なに、こ、これ、これ、ん、ひう、ん、チュ、クチュ、チュパ、ん、チュ、あ、ふあ、ん、い、あ、あ、あぁああああ!」
 ドクッ、ドクッ……生涯にわたり溜め込んだ白濁液が、自らの手を、ベスの手を、床を、そして武の身体を汚していく。
「これ、これ、が……」
 息を荒げながら、半ば放心状態のエンジェル。そんな天使の耳元に、武が囁いた。
「気持ち良かったか?」
 気持ち良い? これが、これが禁忌とされる性欲、性感……初めてづくしの体験に、まだ天使の思考が追いつかない。
「気持ち良かったか?」
 再び尋ねる主に、堕落の一歩を歩んだ天使が口を開いた。
「はい……気持ち、良かったです……」
 天から舞い降りし天使が、天にも昇るような快楽に身を堕とす。もう、後戻りは出来ない……こんな快楽を知ってしまったら、もう堕天の道しか残されていない……悲しみと、そしてこみ上げる……新たな感情。放心しながらも、自分が禁忌を犯し堕落していく失意と高揚に胸を締め付けられていた。
「……キミが欲しい」
 続けて、武が囁く。
「君が誰に仕え、どんな命令を受けたのか……そんなことはもうどうでもいい」
 言っている意味が理解できないのか、まだ放心している天使を、武はまた自分に顔を向けさせ、そして宣言する。
「キミは俺の仲魔だ。だからキミの全てを俺が貰い受ける……忠誠心も愛情も、性欲も全て……全て、俺が奪い取ってやる」
 自分の元へ差し向けられた天使。エンジェルがどんな使命を帯びて自分の所へ来て、そして身を投げ出してでもその使命を果たそうとしているのか……そんな事を考えるのを、武は止めた。
 奪えば良い。武が導いた結論は、これだ。
 誰かに向けられている忠誠心。それすら奪い取って、自分への偽りの忠誠心を本物にしてみせる。そして神への愛情も奪い取り、新たに覚えさせた性欲も自分へ向けさせる。エンジェルという仲魔を、完全に自分の物にしたい……そんな欲望に、武は突き動かされていく。
「ベス、彼女を上に……」
「はい、ご主人様」
 主の宣言を複雑な気持ちで聞いていたベス。強く思われている天使に嫉妬する気持ちもあるが、天使を堕落させることに歓喜する自分もいる。ベスの心中は様々な感情で激しく高ぶっているが、それを表に出すことなく主の命に従った。
 ベッドの上へと移動した武は、そのまま仰向けになった。そして武の上に、ベスがエンジェルを導き跨るよう指示をする。
「さあ、いよいよあなたの中にご主人様を迎え入れるわよ」
「あ、ああ……」
 その時が来た。真下で雄々しく自分に向けいきり起つ肉棒を見つめながら、天使は震えた。
 恐怖? 歓喜? おそらくは、そのどちらもだろう。
 全てを奪う……それは間違いなく、愛ある宣言……告白だ。歪んではいるが、主から告げられたのは愛。奪うことで成される愛……堕落した天使には、その愛情が嬉しかった。
 本来なら、忌むべき感情だ。略奪愛は褒められるべきではない。だが自分に向けられたその愛情は、天使を歓喜させた。
 堕落したから? それもある。だがもっと違う何か……天使の心をときめかす何か、何かが……エンジェルを熱くさせる。
 神の言葉。救いの手。束縛からの解放……武の宣言は、エンジェルに確かな変化をもたらしていた。
「ゆっくりと……大丈夫、痛いのは最初だけだから」
 導かれるままに腰を落とすエンジェル。自らの指で濡らした淫唇が、主の肉棒に触れる。
「んっ!」
 一瞬、そこから逃れようとしてしまう。だがベスに抑えられ逃れることも出来ない。覚悟を決め、またゆっくりと腰を下ろしていく。
「んっ、いっ……ひぐぅうううう!」
 引っかかりを感じてからは、一気に腰を強引に落とされた。結合部からは、赤い「証」が一筋流れていく。
「ひ、い、ん、い、、あ、あ、あぁあ!」
 痛い。膣の中が焼けるように痛い。それを理解しているのかどうか、下からは主が突き上げ、後ろからは胸を掴み羽根を腕で押し上げながら「仲魔」が腰を無理矢理動かしている。痛みに耐えながらも、自分が今何をしているのか……今一度痛みと共に噛みしめる天使。
 禁忌を犯している。不浄なる行為に溺れていく。堕落していく自分……そして、快楽が体中を駆けめぐっていく。
 気持ち良い。痛みの中から、新たな感情が生まれ出てくる。
 気持ち良い。激しいながらも、愛情がそこにある。
 気持ち良い。気持ち良い……いつしか、天使は自分の意思で腰を振り始めていた。
「やっぱり……淫乱なのよ、天使って」
「は、はひ、い、だ、だって、きも、きもち、いい、いいんだ、もの、い、あ、ん、胸、そん、そんなに、い、ん!」
 中傷の言葉すら、今のエンジェルには心地好い。なぜならば、「仲魔」の言葉に悪意がないから……自分と同じように息を荒げ始めた淫魔に、天使が共感をし始めていた。
「うわぁ、やっぱりここも大きくしちゃうんだねぇ。すっごぉい……ね、ね、舐めて良い?」
 腰を動かす度に大きく揺れる肉棒。ピクシーは指をくわえながら獲物に口を付けて良いかを尋ねた。
「はひ、はひ! な、なめ、なめて、くだ、さい、ん、ひぅ!」
 パチンパチンと武の腹を叩く肉棒。いつものように肉棒にしがみつけないが、どうにか先端だけを捕まえ、ピクシーはそこに舌を這わせる。根本が揺れるため上手く舐められないが、それでも先ほど出した白濁液の残りがピクシーの舌を満足させていく。むろん舐められているエンジェルもまた、その快楽に身を震わせていた。
「処女だったのに……すごい乱れようね」
「だって、だって、これ、きも、きもち、い、いいんだ、もの、ん、ひぁあ!」
 禁忌を犯すから、快楽も増す。それは背徳行為……神の使いが背徳行為に身を投じ陶酔している。
 決意したとはいえ、天使はこの背徳行為に心を痛めている。それこそ、「乙女」から「女」へと変わる膣の痛みにも酷似した激しい痛みが。だがそれらを上回る快楽がそこにある。快楽を感じてしまっている天使がいる。そして快楽と共に……
「エンジェル……」
「は、はひ……」
「お前は俺のものだ……愛してるぞ、愛してやるぞ、エンジェル」
「はひ、はひ! ま、マスター、わた、私も、あい、愛してます。マスター、マスター!」
 言葉にしながらも、その言葉が真実なのかどうか……少なくとも、武は本気だ。そしてエンジェルはその本気に答えた。ただ答えた。自分の言葉にどれほどの誠意が、真意が込められているのか……本人にも判らない。
 ただ、天使は強く思った。
 私を……奪って!
「い、ま、また、い、こ、これ、さっき、より、すご、すご、い、ふぁ、あ、ん!」
「逝くのね? 今度はオマンコで逝くのね? いいわ、逝きなさい。ちゃんとご主人様を受け止めながら逝くのよ? いい?」
「エンジェル……俺もそろそろ……」
「はひ、い、逝く、逝く、い、いく、い、あ、ん、ふぁ、ま、また、き、くる、くる、きちゃ、きちゃう、い、あ、ん、あ、あぁああああ!」
 清らかな天使の中へ、不浄なる人の欲望が流れ込む。それを全て受け入れようと、膣がギュギュッと男を締め上げる。そして清らかだった乙女に付けられた「男」もまた……
「ケホッ! ちょ、もう……すっごいいっぱい出てくる……コホッ、ん、もう、出しすぎぃ」
 先端を抑えていた小さな妖精に向け、天使の欲望が射出された。二度目にしてはあまりにも多い量に、妖精は窒息しかけていた。
「フフッ、もう聞こえてないみたいよ?」
 ぐったりと、天使は力の抜けた身体を淫魔に預けていた。それでも主を入れたままの膣は、ヒクヒクと痙攣するかのように蠢いていた。
「もしかしたら、お前よりも淫乱になるんじゃないか?」
 下から、半ば冗談交じりに淫魔へ問いかけた。
「そうなるかもしれないわよ? この娘……やっぱり淫乱よ。私達の仲魔には相応しいくらい……ね」
 淫魔も認めるほど淫らに乱れまくった天使は、美しくもだらしない顔を主に、仲魔に、晒していた。
「エンジェル……お前は俺のものだ」
 改めて宣言するエンジェルのマスター。うっすらと、天使は微笑んだかのように見えた……。

「あ、あの……本当にこんな……」
 契約を結び直し、正式に武の仲魔となったエンジェル。だがその契約に、新たな条件が加えられていた。
「とてもお似合いですわよ?」
 ニッコリと微笑む淑女は、むろんその笑顔に淫魔の影を忍ばせている。
「にっ、似合うかどうかではなく、その……」
 モジモジと恥ずかしげに身体をくねらせる天使。それがかえって、真新しい「衣装」の効果も含め彼女を妖しく魅せていた。
「マスター、こんな格好恥ずかしすぎます……」
 今まで着ていた服は、ゆったりと身体全体を覆っていた。今彼女が着ている衣装は、その真逆……露出部分があまりにも多い過激なものだ。露出と言うよりは、もう裸同然に近い。彼女が身につけているのは、鎖の付いた首輪と、首輪のようにベルト状の上着。腰にもやはり同じようなベルトが着けられ、そして股もやはりベルトのように細いパンツ。それら全てが縦一本のベルトで繋がっている……服と言うよりは拘束服だ。
「そのうち、その恥ずかしさが病み付きになるようにしてあげるよ」
 ニッコリと、変態という名の主が微笑んだ。
「キミを俺のものにする……その為には、キミの全てを俺の色に染めたいんだ……こんな風にね」
 エンジェルを抱き寄せながら、武は背中に生えている天使の羽根を撫でた。
 真っ白に美しかった羽根……今その羽根は、純白を失っていた。根本はまだ白さが残っているが、先端に近づくにつれ徐々に黒く染まっており、先端はカラスの羽根のように黒くなっている。
 これは、エンジェルが堕天した証なのだろうか? だがエンジェルは最下位とはいえ神が使わした天使……快楽に身を堕としても、心の清らかさはまだ失われていない。
「……後悔してる?」
 主の問いかけに、「仲魔」は直ぐさま首を振って答えた。
「するはずもございません……私から望んだことですよ? マスター」
 目的があるにせよ……自分から望んだこと。後悔するはずもない。
 そしてその「意味」は、いずれ変わっていく……のかもしれない。羽根が、衣装が、様変わりしたように。
「マスター、私をあなたのものに……してください」
 それが本心なのかどうか……答えはいずれ、訪れるだろう。

web拍手

戻る